■ はじめに
「右を向くたびに首の付け根がズキッと痛む」――そんな悩みを抱えて来院された、デスクワーク勤務の50代男性の症例をご紹介します。
症状が始まったのは来院の約1か月前。特にきっかけとなる出来事があったわけではなく、気づいたら右を向こうとするたびに首の右付け根あたりに痛みが出るようになっていたといいます。
日常生活への影響も少しずつ出てきていました。車の運転中に右側を確認しようとするとき、痛みで首を十分に回せない。夜寝るときも、いつもの枕の高さでは痛みが出るため、枕を高くして寝るようになっていた。じわじわと生活の質が下がっていく状況に、不安を感じていたそうです。
■ 来院までの経緯と対処方法
まず病院を受診してMRI検査を受けましたが、骨や神経に異常は見つからず。「原因不明」という結果に、かえってモヤモヤした気持ちになったとおっしゃっていました。
その後、揉みほぐしのマッサージ店に何度か通うことに。施術直後は何となくすっきりした感覚があったそうですが、日が経つにつれて状態は少しずつ悪化していきました。「通うほどに良くなるどころか、むしろ悪くなっている気がする」と感じはじめ、次第に足が遠のいていったといいます。
そのような時期に、職場の同僚から「そんなにつらいなら一度行ってみたら」と当院を紹介していただき、来院されることになりました。
■ 当院での原因の判断と施術内容
来院時の状態を確認したところ、首そのものよりも、右の脇の下から骨盤にかけてのラインに大きな問題があることがわかりました。具体的には、肋間筋(ろっかんきん)・腹斜筋(ふくしゃきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)といった筋肉がガチガチに固まっており、これが首の可動域を制限している根本的な原因と判断しました。
当院では「痛みの出ている場所は触らない」という考え方を基本としています。そのため首には直接触れず、まず右側の脇腹から骨盤まわりの筋肉をほぐすことからスタートしました。すると首の可動域がおよそ30度広がりました。さらに左側の腹斜筋と腸骨筋も緩めることで、可動域はより一層広がりました。
施術後に「そのまま放置するとすぐに元の状態に戻ってしまう」と判断したため、自宅でのセルフケアとして、腹斜筋のあたりを貼るカイロで温める習慣をつけていただくようお伝えしました。
施術のペースは、最初の2週間は週2回、その後は週1回に移行しながら、合計1か月半ほど通っていただきました。
■ 経過と現在の状態
初回の施術後、「来たときよりずいぶん楽になった」とご報告いただきました。首を右に向ける動作がスムーズになり、施術の効果をすぐに実感していただけたようです。
ただし、長期間かけて蓄積してきた筋肉の疲労は、一度の施術で完全に解消されるわけではありません。施術とセルフケアを継続していただく中で、痛みが出る頻度は週を追うごとに少なくなっていき、完全に痛みが抜けるまでにはおよそ2か月かかりました。現在は車の運転時の確認動作も問題なくできるようになり、枕も元の高さに戻って快適に眠れているとのことです。
■ まとめ
今回の症例のポイントは、「首の痛みの原因が首にはなかった」という点です。MRIで異常が見つからず、首まわりを揉んでもらっても改善しなかったのは、根本の原因である脇腹から骨盤まわりの筋肉の疲労にアプローチできていなかったためと考えられます。
首を右に向けると痛い、後ろを振り返るのがつらい、枕を変えないと眠れないといった症状でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。原因がどこにあるかをしっかり確認したうえで、あなたに合った施術とセルフケアをご提案いたします。

